実家の片付けを業者に頼むとき、許可の名前は「片付け」ではない

公開: |運営: ubusuna works

この記事の結論

自治体の許可業者名簿で「片付け作業」まで対象と書いているのは、当サイトが収録した44自治体のうち横浜市と高崎市の2つだけ(3,397行中77行)。ほかの自治体は「一時多量ごみの収集運搬」という名前で書いている。業者に聞くべきは「片付けできますか」ではなく「この市の一時多量ごみの許可をお持ちですか」である。

誰向けか: 実家に残った家財の片付けを、どの業者に頼めばよいか決めかねている方。

  1. その業者は、実家のある市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか(許可は市区町村ごとで、隣の市の許可では運べない)
  2. 名簿に載っている許可の対象に、家庭から出るごみが含まれているか(事業系だけの許可では家庭のごみを運べない)
  3. 残す物の運搬・売れる物の買取・ごみの収集運搬のうち、どこまでをその業者が行うのか

実家の片付けを頼もうとして業者を調べると、「不用品回収」「遺品整理」「生前整理」「便利屋」と名前が並ぶ。どれも作業の呼び名であって、制度の名前ではない。制度の側から見ると、片付けという1つの作業は3つに分かれている。

片付けは、制度上は3つの作業が重なっている

物を動かす

残す家財を新居や施設へ運ぶ。引越や運送の仕事にあたる。

買い取る

値の付く物を買い取る。古物営業法の古物商許可が要る。

そして3つ目が、ごみになる分を運び出す作業である。ここだけが、廃棄物処理法の許可の話になる。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条第1項は、こう定めている。

一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。

許可を出すのは市町村長である。都道府県ではない。だから隣の市の許可を持っていても、実家のある市では運べない。

名簿には「片付け」と書かれていないことのほうが多い

当サイトは44自治体が公表する一般廃棄物収集運搬業の許可業者名簿を転記している。その3,397行の「許可の対象」の原文を数えた。

77 / 3,397

「片付け作業」という言葉まで書いてあったのは、横浜市と高崎市の2自治体、77行だけだった(2026-09-02集計)。横浜市の書き方はこうである。

家庭系: 一時多量ごみの収集運搬○・家庭系: 不用品などの片付け作業○

いっぽう「一時多量ごみ」という言葉は、15自治体・1,138行にあった。一宮市の書き方はこうである。

家庭系一般廃棄物(一時多量ごみ)の収集運搬許可業者

つまり多くの自治体は、片付けで出る大量のごみを「一時多量ごみ」と呼んでいる。引越し・大掃除・実家じまいのように、ふだんの収集では出しきれない量が一度に出るごみのことである。

聞き方を変える

「実家の片付けはできますか」と聞くと、たいていの業者は「できます」と答える。作業としてはできるからである。「◯◯市の一時多量ごみの許可をお持ちですか」と聞くと、答えは分かれる。許可の有無を聞いていることが、相手にも伝わる。

名簿の原文には、ほかにこう書かれている

同じ3,397行を語ごとに数えると、自治体が何を許可の対象として書いているかが見える。

名簿の原文にある語行数
家庭(家庭系・家庭から出る等)1,588
一時多量ごみ1,138
引越しに伴うごみ800
粗大ごみ766
遺品204
片付け作業77

数えたのは名簿の原文の語であって、業者ができる作業の範囲ではない。**書いていないことは、対応しないという意味ではない。**自治体が名簿にどこまで書くかは、自治体ごとに違う。

許可が要らない部分もある

第7条第1項にはただし書きがある。

ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

**自分で運ぶ場合は許可が要らない。**実家の家財を自分の車で市の処理施設へ持ち込むのは、この形にあたる。持ち込みの受付日・手数料・持ち込める品目は市区町村が公表している。量が多くないなら、この道がいちばん安い。

売れる物を買い取ってもらう部分も、廃棄物処理法の話ではない。ただし「買い取る」と言いながら実際は処分費を取る形になると、ごみの収集運搬にあたる。この境目については遺品整理業者の選び方に書いた。

見積もりを取る前にやること

  1. 実家のある市区町村の許可業者名簿を開く。 当サイトは44自治体の名簿を転記している。原本のURLも各ページに載せている
  2. 候補の業者が、その市区町村の名簿に載っているかを確かめる。 載っていなければ、その市でごみを運ぶ許可は無い
  3. 名簿に書いてある許可の対象を読む。 「事業系」だけの許可では、家庭から出るごみは運べない
  4. 見積書で、ごみになる分を誰が運ぶかを確かめる。 別の会社が運ぶ場合は、その会社の許可を聞く

許可があることは、料金の安さや作業の質を保証するものではない。**運べるかどうかだけが分かる。**そのうえで2〜3社に同じ条件で見積もりを取る。

出典

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)第7条第1項 取得日2026-09-02
  • 当社データ(44自治体3,397行の許可業者名簿「許可の対象」欄の語を集計) 集計日2026-09-02
  • 各自治体が公表する一般廃棄物収集運搬業 許可業者名簿(原本のURLと取得日は各業者ページに記載)
  • 許可の有無・対象の範囲は、実家のある市区町村にご確認ください。当サイトは公表名簿の転記であって、個別の判断を行うものではありません

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