自治体の原文で確認する

家庭の不用品は、誰がどの制度で運べるのか

「トラックで回収に来てくれる業者に頼めば済む」と考えて実家の片付けを始めると、 国民生活センターが名指しで警告しているトラブルの入口に立つことになる。 家庭から出るごみを運べる者は法律で決まっており、しかもその答えは自治体によって違う。

前提 — 産業廃棄物の許可では、家庭ごみは運べない

廃棄物処理法は、廃棄物を「産業廃棄物」(事業活動から出るもののうち法で定める20種類)と「一般廃棄物」(それ以外)に分けている。 家庭から出る遺品・家財・ごみは一般廃棄物である。これを収集・運搬できるのは、 市区町村そのものか、市区町村の許可・委託を受けた者だけで、産業廃棄物の許可しか持たない業者は運べない(廃棄物の処理及び清掃に関する法律6条の2・7条)。

インターネットやチラシ等で広告を大々的に出している事業者が必ずしも一般廃棄物処理業の許可業者とは限りません。(中略)もしも不用品の回収を市区町村以外に依頼する場合は、市区町村のホームページや窓口への問合せで一般廃棄物処理業の許可業者を探し、複数社から見積もりを取り検討しましょう。

国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル—市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!—」2022-11-02公表(原文・取得日 2026-08-27)

国は「市区町村のホームページで許可業者を探せ」と言う。ところが、その指示のとおりに東京23区のホームページを開くと、 探しているものが見つからない。ここが、このページで一番大事な分かれ目である。

東京23区 — 家庭ごみを対象にした許可業者名簿は存在しない

23区にも「一般廃棄物収集運搬業許可業者一覧」はある。ただしそれは事業系ごみ(事務所・店舗などから出るごみ)の名簿である。 当サイトが大田区・新宿区・江東区の名簿PDFの列見出しを原文で確認したところ(2026-08-27)、許可区分は 「普通ごみ/道路・公園ごみ/しさ・ふさ/汚でい/動物死体/医療廃棄物/廃家電」の7区分で、 「家庭ごみ」「粗大ごみ」という区分はどの区にも無い。名簿の置き場所も3区とも「事業系ごみ」のページである。

つまり23区では、「許可のある回収業者」を探すという発想そのものが成り立たない。区は、こう言い切っている。

「家庭の不用品を無料で引き取ります」と宣伝し、高額な料金を請求する業者がいます。不用品回収業者は、家庭の不用品をごみとして処分することはできません。このような業者への引き渡しは、トラブルや不法投棄の原因になる可能性があります。

大田区「不用品回収業者にご注意ください」(更新 2025-04-09・原文・取得日 2026-08-27)

では23区の実家じまいで、ごみになる分はどう出すのか。使える経路は次の3つである。

区の粗大ごみ収集 事前申込制・品目別の手数料。申込は排出者(住人・遺族)の名義で行う。業者ではなく区が収集する。
区の臨時ごみ 引越し・大掃除などで一度に多量に出す場合の有料収集。大田区の場合、45Lの袋4袋以上が対象で、事前に管轄の清掃事務所に相談する。粗大ごみ・家電リサイクル対象品・パソコンは対象外。
出典: 大田区「臨時ごみ(一度に多量のごみを出す場合)について」(更新 2025-04-09・取得日 2026-08-27)
自己搬入 排出者自身が区の清掃施設へ持ち込む(区の案内に従う)。

遺品整理業者に頼む場合も、この構図は変わらない。23区で業者が適法にできるのは、 ①売れる物を古物商として買い取る(廃棄物にしない)、②ごみになる物の分別・室内からの搬出を手伝い、 区への申込は依頼者名義で出す、③家財をそのまま運ぶ分は引越運送として運ぶ、という組み立てである。 「ごみも全部トラックで持って帰ります」という業者は、大田区の言う「処分することはできません」に正面から当たる。

川口市型 — 家庭系の許可業者に委託できる自治体もある

23区の外に出ると、答えが変わる。埼玉県川口市は「一般廃棄物収集運搬業許可業者一覧(ごみ・粗大ごみ)」という名簿を公開しており(令和8年3月1日現在・30社)、本文でこう案内している。

引っ越しなどで一時的に多量に排出される場合や、事務所・店舗・工場などの事業活動によって排出される一般廃棄物は、その種類・量を問わず、一切路上の家庭ごみステーションに出すことはできません。戸塚環境センター・朝日環境センターへ自己搬入するか、市から許可を受けた業者に委託してください。

川口市「一般廃棄物収集運搬業許可業者一覧(ごみ・粗大ごみ)」(令和8年3月1日現在・原文・取得日 2026-08-27)

こういう自治体では、家庭から一時的に多量に出るごみを市の許可業者に委託できる。 国民生活センターの「市区町村のホームページで許可業者を探せ」という指示は、この型の自治体でそのまま使える。 当サイトの業者名簿は、この「家庭ごみ・粗大ごみを許可対象に含む自治体」の許可名簿を自治体ごとに集めて転記するものである。

買取(古物商)— 廃棄物にしないという第4のルート

売れる物は、そもそもごみではない。中古品として買い取る営業には古物営業法の古物商許可(都道府県公安委員会)が要り、 買い取られた物は有価物として運ばれるので、廃棄物処理法の許可の話から外れる。 ただし環境省は、廃棄物かどうかは「その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案」して判断するとし、 「有価物と称して法の規制を免れようとする事案」を安易に有価物と判断しないよう自治体に示している(環境省「行政処分の指針について」環廃産発第1303299号・平成25年3月29日)。 形だけ「買取」と呼んでごみを引き取る業者は、この指針の名指しする形に当たる。

業者に頼む前に確かめる4点

1. 古物商許可の番号買取をうたうなら、公安委員会の許可番号を表示しているか。
2. ごみになる分の行き先「区市の粗大ごみに出す(申込は依頼者名義)」「自治体の許可業者(許可番号)に委託する」「自己搬入する」のどれかを明記しているか。ここを書いている業者はまだ少ない。
3. 役割の線引き分別・搬出は業者、行政への申込は依頼者、と書き分けているか。
4. 「家庭の不用品を回収します」と書いていないか23区でこの表示は、区の注意喚起(上記・大田区)が「できません」と言う行為の宣伝である。

このページの制度の記述は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)、各自治体の公表ページ(本文中に取得日を明記)、 国民生活センターの公表資料に基づく。自治体の運用は変わることがあるため、実際に出す前にお住まいの自治体の最新の案内を確認してほしい。

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