家財を残したまま解体を頼むと、料金の前に許可で詰まる

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この記事の結論

解体業者が通常持っているのは工事の廃棄物を運ぶ側の許可で、家の中に残った家財(残置物)は家庭から出る一般廃棄物にあたるため、その許可では運べない。当サイトが82市区町村の公式ページを原文で確認したところ、家庭ごみを許可の対象に含むと確認できたのは47市、事業系のみが25市、判定が保留・名簿の公表が見つからない市が合わせて10市だった。見積もりを取る前に、自分の市がどちら側かを確かめる。

誰向けか: 解体の見積もりを取っていて、家の中に残った家財(残置物)の扱いに迷っている人

  1. 見積書の「残置物処分」の行が、どの許可でどこへ運ぶ前提になっているかを業者に聞く
  2. 実家のある市区町村が、一般廃棄物収集運搬業の許可に家庭ごみを含めているかを先に確かめる
  3. 含めていない市では、粗大ごみの収集か自己搬入に、自分の名義で申し込む

解体の見積もりを3社取って、いちばん安いところに決める。総額の内訳に「残置物処分一式」と書いてあれば、家の中のものはそのまま持っていってもらえるのだろう、と読める。実際、そう読めるように書かれた見積書は多い。

だが、その一式を運ぶ許可を、解体業者が持っているとは限らない。

残置物の撤去に、許可は要るのか

要る。ただし、解体工事そのものの許可とは別の許可である。

解体業者が請け負うのは工事だ。工事で生じるコンクリート片や木くずは産業廃棄物にあたり、建設業許可や解体工事業登録がその許可になる。ところが家の中に残った家具・家電・衣類は、工事から生じた廃棄物ではない。住んでいた人が出す一般廃棄物である。産業廃棄物の許可では、これは運べない。

環境省は自治体宛の通知で、こう整理している。

解体工事に伴う残置物の取扱いについては、解体工事に伴い生ずる廃棄物とは別に整理する必要があり、当該残置物の処理責任は建築物の所有者等にある

(環境省「建築物の解体時等における残置物の取扱いについて」平成26年2月3日付通知)

つまり、残置物を運び出す責任を負っているのは解体業者ではなく、発注者であるあなただ。業者が「一式で処分します」と請け負うこと自体は禁じられていないが、その業者が家庭ごみを運ぶ許可——一般廃棄物収集運搬業の許可——を、実家のある市町村から受けているかどうかは、産業廃棄物の許可とは別に確かめる必要がある。

実家の残置物は、市によって出し方が変わる

ここで確かめるべきことは一つに絞られる。実家のある市区町村が、一般廃棄物収集運搬業の許可の対象に、家庭から出るごみ・引越しごみ・遺品などを含めているかどうかだ。含めていれば、その市の許可業者に残置物を委託できる。含めていなければ、市の粗大ごみ収集か、自己搬入に乗せることになる。

当サイトは82市区町村の公式ページを実際に開き、原文の文言でこの2つを判定した。

判定市数意味
家庭ごみを含む47民間の許可業者に残置物を委託できる
事業系のみ25家庭ごみは市の収集・自己搬入が前提
判定保留7名簿はあるが、明文の一文が未確認
名簿の公表が見つからない3窓口に直接確認するしかない

47 / 82

家庭ごみを含む市が、含まない市よりわずかに多い。ただし差はそれほど大きくなく、「解体業者に頼めば残置物もまとめて運んでもらえる」が通用しない市が、確認できただけで28市ある。判定保留・名簿なしの10市は「無い」ではなく「まだ確認できていない」なので、ここも自分の市が入っていないかは見ておいたほうがいい。

家庭ごみを含む47市では、名前だけでなく対象の範囲を見る

47市に入っていれば話は早い、というわけでもない。福岡市はこう案内している。

遺品整理及び引越時に発生する家庭系ごみに限定した一般廃棄物収集運搬事業者について、以下のとおり許可を行っております

(福岡市「一般廃棄物収集運搬業許可業者(限定)」、当サイト取得2026-08-28)

「限定」という言葉が付いているとおり、遺品整理・引越しに伴う家庭系ごみという枠内での許可であって、通常の事業ごみを扱う許可とは別枠になっている。解体の残置物がこの枠に入るかどうかは、市によって書き方が違う。姫路市や川口市のように、引越しや家財の一時多量な排出を対象に含めると明記している市もあれば、家庭系という大枠だけを示している市もある。名簿に許可業者として載っていることと、その業者が残置物のような一時的な大量排出に対応できることは、必ずしも同じ意味ではない。見積もりの席では、業者名だけでなく「実家のある市の、家庭系ごみの許可番号」まで聞く。

「事業系のみ」の25市では、残置物は解体業者を通らない

札幌市の案内はこうだ。

事業系廃棄物は、市では収集をしていません

(札幌市「事業系一般廃棄物」、当サイト取得2026-08-27)

札幌市に限らず、大阪市・名古屋市・神戸市など、確認できた25市は家庭ごみを市の収集または家庭ごみ専用の枠に留め、事業者向けの一般廃棄物収集運搬業許可は事業系のごみだけを対象にしている。この場合、解体業者がどれだけ立派な産業廃棄物の許可を持っていても、家財を運ぶ許可にはならない。

残置物は、解体前に市の粗大ごみ収集か、清掃工場・処理施設への自己搬入で片づけておくことになる。どちらも申込みは家の所有者や相続人の名義で行う。自治体ごとの持ち込み手数料や申込み方法は、家庭の不用品の適法な出し方に自治体の原文つきでまとめてある。

政令指定都市や中核市にこの型が多いのは偶然ではない。人口規模の大きい市ほど、家庭ごみの収集体制そのものが確立していて、民間業者に家庭系の許可を出す必要が薄い、という傾向がここに表れている。

判定保留の7市、名簿が見つからない3市

下関市・岡崎市・東大阪市・福島市・高槻市・高知市・鳥取市の7市は、許可業者の名簿自体は公表されているものの、家庭ごみを対象に含むと明記した一文をまだ確認できていない。寝屋川市・岐阜市・那覇市の3市は、名簿の公表ページそのものが見当たらなかった。

この10市が実家にあたる場合、解体業者に残置物を任せられるかどうかを、公表資料だけでは判断できない。市の清掃事業を所管する窓口に、直接「一般廃棄物収集運搬業の許可に、引越しや家財の片づけで出るごみは含まれますか」と聞くところから始めることになる。判断がつかないときは、無料相談で状況を伺うこともできる。

見積もりの前に、残置物の行だけ聞く

解体の見積もりを比べるとき、総額や工期に目が行きがちだが、確かめる価値があるのは「残置物処分」の一行だけである。

  1. 実家のある市区町村が、一般廃棄物収集運搬業の許可に家庭ごみを含めているかを、市のページで先に確認する
  2. 含めている市なら、見積書の残置物の行について、その市の許可番号を業者に聞く
  3. 含めていない市、あるいは確認できない市なら、残置物は解体の前に自分の名義で粗大ごみ・自己搬入に出しておく
  4. どちらの市かは許可業者名簿からも確認できる。当サイトは44市区町村・3,273社の名簿を転記している

残置物の行に許可番号が書けない業者は、その一式をどの制度で運ぶつもりなのか答えられない業者でもある。総額を比べるのは、そこを確かめたあとでいい。

出典

  • 環境省「建築物の解体時等における残置物の取扱いについて」平成26年2月3日付通知(取得日2026-08-27)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第7条第1項(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137 取得日2026-08-27)
  • 福岡市「一般廃棄物収集運搬業許可業者(限定)」(取得日2026-08-28)
  • 札幌市「事業系一般廃棄物」(取得日2026-08-27)
  • 当社データ(82市区町村の公式ページ・PDFの原文を確認した判定の集計。2026-08-27・28取得、2026-09-04に当方で再集計)
  • 許可の有無・対象の範囲は、実家のある市区町村にご確認ください。当サイトは公表資料の集計・転記であって、個別の判断を行うものではありません

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