解体業者の選び方 — 見積もりの前に、許可と登録を3分で確かめる

公開: 2026-08-27|運営: ubusuna works

この記事の結論

解体工事を請け負えるのは「建設業許可(解体工事業などの該当業種)」か「解体工事業登録(請負代金500万円未満)」のある業者だけ。どちらも公開名簿で無料で確認でき、見積もりを取る前に3分で調べられる。

誰向けか: 実家の解体を考え始め、どの業者に見積もりを頼むか決めかねている人

  1. 建設業許可は国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で社名検索する
  2. 500万円未満の工事だけを請け負う業者は、都道府県の解体工事業登録名簿で確認する
  3. 見積書に残置物(家財)の扱いが書かれているかを見る。家財を残したまま解体を頼むと費用と法律の両方で不利になる

解体の見積もりを3社から取って、いちばん安いところに決める。実家じまいの解体はそれで足りる、と考えている人が多いはずだ。私も最初はそう整理していた。だが見積額を比べる前に、そもそも見積もりを出してきた業者が解体工事を請け負ってよい業者なのかを確かめる方法があり、それは無料で、3分で終わる。ここを飛ばして金額だけ比べるのは、順番が逆である。

解体を請け負えるのは2種類の業者だけ

解体工事の請負には、法律上の入口が2つある。

区分対象根拠
建設業許可(土木・建築・解体工事業)請負代金の制限なし建設業法3条
解体工事業登録(都道府県知事・5年ごと更新)請負代金500万円未満の解体工事建設リサイクル法21条

どちらも持たない業者は、金額にかかわらず解体工事を請け負えない(出典: 建設業法・建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、e-Gov法令検索・取得日 2026-08-27)。

木造の実家1軒なら500万円未満に収まることが多いから、登録だけの業者も普通に候補になる。登録だから格下、という話ではない。確かめるべきは格ではなく、どちらかを実際に持っているかどうかである。

確かめ方 — 公開名簿を2つ引く

建設業許可は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で社名を入れれば、許可番号・業種・有効期間まで出てくる。ここに「解体工事業」の業種があるかを見る。

解体工事業登録のほうは全国一括の検索がなく、都道府県ごとの名簿を引く。たとえば神奈川県は登録業者の一覧を毎月更新で公開している(神奈川県「解体工事業者登録簿の閲覧」・取得日 2026-08-27)。「(都道府県名) 解体工事業登録 名簿」で検索すれば、たいてい県のページが最初に出る。

見積書やサイトに「許可番号 ○○県知事 第○○号」と書いてあっても、そのまま信じずに名簿側から引き直す。転記した番号と名簿が一致して、はじめて確認が終わる。

発注者にも義務がある — 届出は業者ではなくあなたの名前で出る

ここは業者選びの話から半歩それるが、知らないと選び方まで間違える。床面積80m²以上の建築物を解体するとき、都道府県知事への分別解体等の計画の届出義務を負うのは、業者ではなく発注者である(建設リサイクル法10条・工事着手の7日前まで)。実務では業者が書類を代行することが多いものの、名義はあなただ。

だから、見積もりの段階でこの届出に触れもしない業者は、その時点で候補から外してよい。発注者の義務を説明できない業者が、現場の分別を法どおりにやると考える理由がない。

見積書で見るのは総額ではなく「残置物」の行

複数の見積もりを並べたとき、差が出やすいのが残置物——家具や家電など、家の中に残したままの家財の扱いである。

環境省は、解体工事に伴う残置物は解体で生じる廃棄物とは別で、その処理責任は建物の所有者等にあり、一般家庭の残置物は一般廃棄物として扱う必要があると自治体に通知している(環境省通知「建築物の解体時等における残置物の取り扱いについて」平成26年2月3日)。つまり解体業者が持つ産業廃棄物の許可では、家財は運べない。

「残置物もまとめて処分します」と総額に含めてくる見積もりは、一見親切に見える。だがその家財がどの制度で運ばれるのかを業者に聞いて、答えが返ってこないなら、その一式は法の外で処理される可能性を疑ったほうがいい。家財は解体の前に、家財の出し方のルールで片付けておく。当サイトの家庭の不用品の適法な出し方に、自治体の原文つきで整理してある。

一括見積もりサイトの手数料は、見積額に乗っている

一括見積もりサービスは施主側無料のものが多い。無料の理由は公表されていて、たとえば解体マッチング大手のクラッソーネは、工事会社側から成約額の約10%の手数料を受け取ると愛知県の公式事例集に載っている(サ・ポータルあいち「株式会社クラッソーネ」・取得日 2026-08-27)。使うこと自体は合理的な選択だが、その1割ぶんの原資がどこから出るかは、見積額を眺めるときに思い出す価値がある。

許可・登録の確認、届出の説明、残置物の行。この3つを通った業者だけを、金額の比較に進ませればよい。最初に書いた「3社から取って安いところ」は、この関門のあとでなら、そのまま正しい。


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